言葉を遣わない「お前は不要通告」。その後に…

和久わくこ和久わくこ

敬愛していた上司(仮称「バラム」)は、自身の事故隠蔽のため、私を退職に追い込んだ。

ここまでのいきさつ 私を陥れた上司は、かつての同僚

クビだと言われたわけじゃない

私は「バラム」との電話で、「辞めればいいんでしょう?」と口にしました。

そして「バラム」から、「それがいいと思います」と言われてしまった。

「お前はクビだ」と言われたわけじゃない。

辞意を口にした私に対し、同意されただけ。

私は一気に大混乱に至りました。

頭の中を駆け巡る言葉は、「なぜ?!」ばかり。

お前は不要だ

怒涛のように湧き上がる「なぜ?!」。

「バラム」と出会った頃から、今までの思い出全てと、

直近の別人になったとしか思えないこと、

それらが全部ぐちゃぐちゃになって私に迫る「なぜ?!」。

 

極彩色で、それら無数の色が、うじ虫のように増殖して動き続けているような。

気持ち悪くて悲しくて情けなくて。

なぜ、こんなことに。なぜ、なぜ。

無数に湧き上がる「なぜ」、それは、とどのつまり、

 

敬愛する「バラム」から「お前は不要だ」と、捨てられたことへの悲憤。

親に捨てられる、恋人に捨てられる、愛着を持った対象から裏切られた事例、

この事変を括りなおすなら、そういうことなのかと思ったものです。(でも後に、さらに括りなおすことになるのです。)

私を捨てるのはなぜ?

電話の最中もその直後も、当時の私は、ただただ、混乱の極みにありました。

次々と浮上する「なぜ?!」を整理するなど、できるはずもない。

その気持ち悪い「なぜ?!」の集合体は、言葉にできるものじゃなかった。

でも、「バラム」対して、「なぜ?!」と問うことが無意味だということだけは、

うすぼんやりと形を成してきました。

それもそのはず、自分を捨てた人に対して

「なぜ私を捨てるの?」などと取りすがって泣きわめくようなものだから。

新しい事業所探しに協力する

あたかも、「私を捨てないで」と懇願することの無意味さに気づき、

湧き上がる「なぜ?!」は、一気に色を失いました。

そして、それらをまとめて脇に追いやりました。

そして、これ(「バラム」)に屈してなるものかと思いました。

怒りが湧き上がりました。

急に黙った私に対し、「バラム」は、新しい事業所探しに協力すると言いました。

私が傷つき、混乱しているのを知った上で、退路を整えようとする姿勢に、なおさら気持ち悪くなりました。

断りました。

前回の電話では、10月まで病休扱いという話でしたが、もう、「バラム」の管理下にいたくないので、この9月末で退職すると言いました。

以降の退職手続きは、事務職員とやり取りすることになりました。

(この電話以降、バラムとは会話していません。)

「バラム」から聞いた最後の言葉は、「大事にしてください」でした。

電話を終えてから、改めて考えました。

その言葉は、

「病休後の職場復帰なんか考えないで、大事にして下さい。そのまま、ずっと休んでいてください。ずっと。そして、二度と来ないでください。」そういう意味だと思えました。

最後に聞いたのは「優しい声」

口調はぶっきらぼうでも、実直だった「バラム」。

私の涙を見て、いきなりのパチンコソングで笑わせた「バラム」。

ぎこちなく乱暴ではあっても、示してくれた行動は全て、誠実なものだったのに。

「バラム」自身が、よく言っていたことを思い出しました。

「言い方に気をつけないと、真意は伝わらないよ」と、家族や周囲の人からよく言われると。

 

皮肉なことに、私が最後に聞いた「バラム」の声は、今まで一度も聞いたことがない、優しく穏やかな声でした。

 

続き(後日掲載)をごらんください辞めたいと言ったから同意しただけ