急逝した親友。順風満帆だったはずなのに、一転して荒れた暮らしに陥ってしまった…。
恋人のようだった時代の終わり
ここまでのながれ → 自死と事故死の境目「親友の死」①
毛色の変わった幼い人
蜜月のような時代が、1年ほど続きました。
2年生に進級してからは、交換日記のやりとり頻度も徐々に減りました。
私は、理論やイメージを頭のなかで膨らませて、気づきや分析を楽しんでいたのですが、それは実生活において説得力に乏しいものだったでしょう。
また、私は、「ふー」に比べて とても幼かったと思います。
集中力にも不足で、全く同じ場で同じ話を聞いていても、「ふー」と違って、聞き逃しがありました。
有用な情報を得るべき場面でも、注意力散漫だった私。
日差しの変化や工事の音、天井のシミが何かの形に見えるだとか、そんなことに気をとられるのです。
仲間から からかわれていても理解できず、すっとんきょうに反応して、なおさらイジられたりなど。
おそらくは、「ふー」にしてみれば、私への興味は徐々に薄れていったのでしょう。
中1の頃は新鮮味があったとしても、中2になるあたりからは
「毛色が変わっている幼い人」という枠組みに収まったのではないかと思います。
まさかの落選
「ふー」は、生徒会役員に立候補し、なんと落選しました。
立会演説会での発表内容は素晴らしく、当選間違いなしと、私も友人らも思っていました。
対立候補は他に二人いましたが、そのうち一人が男子で、ウケ狙いのような演説でした。
その男子が当選したのです。
当時は、男子生徒は男子候補者に投票しがちな傾向がありました。
女子立候補者は「ふー」を含め二人。
この二人の中では、「ふー」の方が明らかに優勢で得票数にも大差があったのです。
が、女子候補者への票が割れた結果、男子候補者の得票数に及ばず、「ふー」落選につながったと思われました。
役職の選択しだいでは
私の出身中学校は県内一の大規模校だったため、生徒会活動の規模も大きく、生徒会長と部長は兼任できないとされていました。
「ふー」は生徒会長を狙っていましたが、次期部長間違いなし(すでに学年代表だった)だったため、他の役職に立候補したのです。
立候補者の顔ぶれや男女の配分からすると、むしろ生徒会長に立候補した方が、役員入りを果たせたと思われますが、あとの祭りです。
言えなかったひとこと
「ふー」は、同級生男子らは子供っぽいと常々言っていました。
小学生の頃、ふざけてばかりで周囲に迷惑をかけていた男子児童数人に、連続ビンタを張ったという武勇伝(?)もありました。
その「ふざけた男子(のような人)」に負けてしまったことは、本人にとって、そうとう悔しいことだったでしょう。
落選結果を知った後、私は、「ふー」の顔を見るのがこわかったのですが、本人の表情は「全くいつも通り」でした。
元気な演技だとか、平静を装うという感じすらありません。
達観した感じでした。
私はむしろ、
「残念だったね」「悔しかったね」などという言葉を、口にできませんでした。
続きをごらんください → 鮮やかさと混沌の中学時代「親友の死」⑩
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