和久わくこ和久わくこ

順風満帆だったはずなのに、急逝した親友。亡くなる直前の異常行動について、信じ難い思いを抱きつつも、過去の記憶を掘り起こしていくと…

「死」を口にする横顔。その目は遠く…

ここまでのながれ →自死と事故死の境目「親友の死」①

どうしたら死ねるかな

親友「ふー」は、たびたび、「どうしたら死ねるかな」「死んだらどうなるのかな」といった内容を口にするようになりました。

以前から、「生と死について」のような内容で話し合ったことはありましたが、最近のそれは雰囲気が違います。

今朝、目の前を通ったトラックを見たとき、飛び込んでみようと思ったとか、首を吊るには電気コードの長さが足りないだとか、

そんなことを言いだすようにもなりました。

超然とした様子

また、あるとき、「昨夜の帰り道、さっきまで大きく輝いていた星が、急に流れ落ちた。天変地異の前触れかな」と、「ふー」が言いました。

その横顔には、自分のみがその現象を見たという恍惚感(?)と、「だったらそれもアリかな」みたいな、超然とした感じがありました。

すぐ近くにいるはずの「ふー」が、遠い。

生きている感じが薄いというか…。

当てもなく歩き、やり過ごしたものの…

私は、どうすればいいのか、全くわからなくなりました。

ただ正直、本当に「ふー」が死のうとしているとは思えませんでした。

なぜか、確信に近いものがありました。

でも、自分がそう思い込みたいだけかもしれない…。

 

家族や友人や先生(?)に相談する気にもなれず、休日、あてもなく歩き続けました。

近所から、普段は行かない道や集落へと歩き進み、見慣れない景色を目にしながら…。

でも、良い案が浮かびもせず、なんの答えも得られない。

冷たい雨に身体が冷え、足元が靴下までぐっしょり濡れて、

ただ意味もなく歩き通した徒労感と共に、帰宅しました。

“あなたの前では”言わないよ

翌日、「昨日あなたのことを考えて、半日、歩き通した。だから、“死のうかな”とか言わないでよ。」と、「ふー」に訴えました。

自分でも、論理が全く破綻していると思いつつも。

「ふー」は、「わかった。あなたの前では言わないよ。」と応えました。

 

私の前で言わないとしても、根本解決には なっていません。

と思いつつも、その“死”の発想から、少しでも離れてくれたらと思いました。

きっと、ちょっとは効果があるだろうと、自分に言い聞かせたものです。

ただ、あとで思うに、私の本音は、「これで困らされずにすむ。だから、自分がラクになれる。」ということだったと思います。

 

そしておそらく、「ふー」は、私のその本音を察知していたと思われるのです。

 

続きをごらんください → 鮮やかさと混沌の中学時代「親友の死」⑪